インプットたくさんしていますか? ~英語習得におけるインプットの重要性

コラム
05 /27 2019
2020年4月から小学校で使用される教科書の検定結果が2019年3月26日に公表されました。
グローバル化する社会に対応する新学習指導要領に基づく初めての教科書で、今までの英語授業に比較すると、「聞く」「話す」が重視されていて、5年生と6年生の授業でも「聞く」と「話す」ことを中心に進められることになります。

「聞く」と「話す」ですが、それぞれインプットとアウトプットと分類することができます。
話す(アウトプットする)ことが、記憶の定着をうながすのでアウトプットが重要と言われることも多くありますが、実は最新の第二言語習得研究では、インプットすることの大切さがわかってきています。
インプットがあって、はじめて内容を理解し、単語や言葉の使い方に気づき、記憶に定着し、それに基づいたアウトプットが可能になります。
英語が話せるようになるには、インプットが必要不可欠なのです。
第二言語習得のプロセス

また、すべてのインプットを記憶に定着させることは不可能ですし、同様に頭の中にあるすべての知識や記憶を、そのまますべてアウトプットできるわけではありません。
つまり、もともとのインプット量が少ないと、アウトプットできる量も少なくなってきます。

こういったことから、英語の習熟のためには、大量のインプットと少量のアウトプットのバランスが大切ということがわかってきました。
上級者でもインプット7に対してアウトプットが3。
ビギナーではインプット9に対して、アウトプット1でもよいと言われています。(割合については諸説ありますが、アウトプットに対して大量のインプットが必要という点では一致しています。)

「話す」ことを重視するあまり、アウトプットする機会が多くなってはいないでしょうか。
アウトプットをするには、まずはインプットからです。
英語に慣れるためにも、まずはリスニング教材などを利用して頭の中の引き出しを十分に増やし、アウトプットにつなげてください。

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これからのAI時代に英語の勉強は必要?

コラム
03 /28 2019
4月を迎え、これからお子さんに英語を学習させてみようとお考えの方もいらっしゃるかと思います。
そのような方々に、はじめにちょっと考えていただきたい問いがあります。
それは「なんのために英語を勉強するのか」ということです。
もう英語学習しているよ。という方も、この機会に改めてちょっと考えてみてください。

広告代理店の博報堂が運営している「未来年表」というサイトはご存知でしょうか。
未来の予測をしている様々な資料から情報を集めて、近い将来どんなことが実現するのか調べることができるホームページです。
未来年表で、「自動翻訳」について検索すると、このような結果が出てきます。

2029年 文化的背景や固有名詞などを自動学習する機械翻訳システムが実用化する
2030年 国際商取引の同時通訳者の役割ができるリアルタイム音声翻訳装置が実用化する(2025-30年)
2050年 コンピューターによる翻訳が普及し、外国語の学習が必要なくなる
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2050年には、外国語の学習の必要がなくなってしまうとあります。
30年後の世界を正確に予測することは難しく、この通りに実現するかはわかりません。
ただ、現在でも自動翻訳機能はかなり使えるようになってきており、ビジネス用途の英語は「Google翻訳」でほぼ問題なく翻訳できるレベルになってきています。
スマホをお持ちで「Google翻訳」の会話モードを試したことがない方は、一度試してみてください。
なかなかの精度に驚かれるかと思います。
このような現状を踏まえると、実現が遅れるよりは、むしろ早まる可能性のほうが高いのではないかとさえ思えてきます。

さて、今10歳のお子さんが40歳になった時には、自動翻訳機が普及し外国語の学習が不要になってしまうことを想像してください。
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さぁ、なんのために英語を勉強するのでしょうか。

実は、言語を学ぶということは、単に発音方法、つづり、センテンスなどを学ぶというだけではなく、その言語を用いている「文化」「習慣」「思考方法」を学ぶということにもつながっています。

ますますのグローバル化によって、英語を使う機会が増えることは間違いありません。
そしてそれと同時に、様々な文化的バックグラウンドを持った人たちとコミュニケーションをとることになります。
その際に、相手の文化的背景や思考方法を知っていると知っていないとでは、コミュニケーションのとりやすさには大きな違いが出てきます。

例えば、「あなたの目ってきれい!」と褒められたとき、日本人であれば「そんなことないよ」と謙遜することが多く、それが礼儀でもあるとされます。
しかし英語圏では、褒めることは相手と距離を縮めるためのコミュニケーションの1つなので、それに対し「No」と答えてしまうと、拒絶していると思われてしまいます。
謙遜は日本では美徳ですが、英語圏では全く違う解釈をされるのです。

また、近年日本でも話題になることが増えた性的マイノリティ(LGBTなど)に関して、英語圏では、he/sheをよく使う英語において性別に関わらない代名詞は何か、という議論があります。
「これは〇〇さんのペン」などと名前を使うことが多い日本語と違い、英語では「he/she/his/her」を多用します。
そこに違和感を持っている方をどう呼ぶのかが議論になっており、相手への配慮の仕方によって、教養があるかどうか判断されることもあります。

文化的な解釈の違いや言語の表現方法を知ることが、コミュニケーションにおいていかに大事か、おわかりいただけるでしょう。
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人工知能(AI)の普及に伴い、今後既存の仕事はどんどん取って代わられるといわれています。
そんなAI時代に必要な能力の一つとしてあげられているのが、対人のコミュニケーション能力です。
英語を学ぶということは、単なるコミュニケーションのツールが一つ増えるというだけではなく、文化や思考方法も同時に学び、一つの言語だけでは知りえなかったモノの見方ができるようになるということでもあります。

「なんのために英語を学ぶのか」
この問いには、様々な答えがあり、どれが正解ということはありません。
ただ、その答えを意識するとしないとでは、今後の学習のモチベーションに大きな違いが出てきます。
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春は学年も一つ進み、心機一転、子どもたちの能力を伸ばしてあげるチャンス。
この機会を逃さず、英語に触れていただければと思います。

恥ずかしくなる前に英語を始めて楽しく学習しましょう ~早期学習開始のメリット~

コラム
11 /27 2018
以前の記事で、日本人が英語を苦手とする理由を説明しました。
そのうちの一つが、日本にある「恥の文化」です。
発音や文法などを間違えることを怖がったり、表現がつたないことを恥ずかしいと思ったりして、英語がなかなか口から出てこないという経験をした方は多いと思います。
こういった恥の感覚を乗り越えていかないと英語が使えるようにはなりません。

言葉を話し始めた子どもを思い浮かべてください。
最初は間違った言葉を使いながらも、周囲の言葉を聞いて正しい言葉づかいを学んだり、親から間違えを訂正されたりしながら、段々と流ちょうに日本語を話せるようになっていきます。

英語の学習も同様です。
間違いと学びを繰り返しながら、徐々に身についていきます。
間違えることを恥ずかしいと思って、英語を使うことを恐れていると、なかなか上達していくことはできません。

しかし、一度恥ずかしいと思うようになってしまうと、なかなかその感情を克服するのは難しいことですよね。
その点、小さな子どもたちは間違えることを恥ずかしがることはありません。
恥ずかしいなんて思わずに、身振り手振りをまじえながら知っている英語をドンドン使っていきます。
英語のクラス


個人差はありますが、「恥ずかしい」という気持ちが出てくるのは、小学校の高学年くらいからと言われています。
年齢が上になるほど「間違えたら恥ずかしい」という気持ちが出てきます。
克服するのが困難な「恥の感覚」は、それを感じ始める前の小学生のうちから英語に接することが一番効果的な解決方法です。

ただ、早くから英語に触れる際に注意するべきことが一つあります。
それは、「無理に押し付けない」こと。
子どもが乗り気になっていないときに「英語をやりなさい」と押し付けると、英語が嫌になるきっかけになってしまいます。
小学生のうちは、勉強と捉えすぎずに楽しく英語に触れる、という感覚でいた方が、長い目で見るといい結果に繋がっていきます。


英語を使えるようになる第一歩として、お子さんが小学生のうちに楽しく英語に触れる機会を設けてみてください。

日本人はなぜ英語が苦手?

コラム
10 /30 2018
日本人は英語ができない。と言われ続けて長い時間がたっています。
苦手なことを示す客観的な指標として、TOEFL iBTのスコアがあります。
TOEFL iBTは、アメリカの大学・大学院で必要な4技能(聞く、話す、読む、書く)の総合的な英語能力を測定する信頼性の高いテストです。

2017年の結果を見ると、「日本人は英語が苦手」どころか、なんとアジアで最下位!

TOELFのスコア
小学校から英語の授業がありますし、英会話学校や英語アプリなどもたくさんあるのに、なぜ世界的に日本人は英語が不得意なのでしょう?



1. 恥の文化
発音が悪いから恥ずかしい。文法が間違っていたら恥ずかしい。
だから、話すのをちゅうちょしてしまう。
この感覚、「あぁそうだ。」と思い当たる方、多いのではないでしょうか。

日本の文化を的確に分析した本として有名な『菊と刀』という本において、
アメリカの文化人類学者ベネディクトは、日本には「恥の文化」があるとしました。
この「恥」という気持ちが、英語でコミュニケーションをとる際の妨げの一つになっていると考えられています。


2. 必要性がない、動機がない
日本人が英語を苦手な二つ目の理由は、英語を習得する必要性や動機が少ないということです。
日本で普通の生活をしている限り、英語を話す機会に出くわすことはほとんどありません。
誰とでも日本語でコミュニケーションとれるのはもちろん、英語が話せなくても学校の授業を受けることができますし、就職に困るということもありません(近年、多少状況は変わってきていますが)。

当然のように思えることですが、実は他の国ではそうはいきません。
国民が英語が得意な国として有名なフィリピン。
フィリピンの小学校では、算数・理科などは英語で授業が行われています。
なぜ英語で教えるのかというと、母国語に存在しない単語が多いことが理由の一つです。
例えば、「光合成」「染色体」などです。
英語で授業を行った方が適切に教えることができるというのが、授業が英語で行われる理由です。
フィリピンの子供


また、以前ご紹介したシンガポールは、それぞれ異なる言語を母語とする多民族で構成されている多民族国家です。
互いにコミュニケーションをとるために、共通言語である「英語」を習得しなければならないという必要性がありました。

日本の場合、(幸か不幸か)日本語だけで何不自由なく生活も勉強も就職もできてしまいます。
積極的に英語を学習したいという感じる機会は少ないし、英語を学ぶ必要性もないので、日本人は英語が苦手なのです。


3. 言語間の距離が離れている
日本人が英語が苦手な理由として、もう一つ上げられるのは、「日本語」と「英語」は言語として大きく異なっている、ということです。
学習者の母語と学習対象となる言語が似ていれば似ているほど、距離が近ければ近いほど、習得は容易になります。
この言語と言語がどれだけ似ているかという概念を「言語間の距離」と言います。
言語間の距離(印欧語族)

もし、日本語と英語が似ていたら、簡単に英語は習得できるでしょう。
ですが、実際は日本語と英語は違う系統の言語に分類され、
発音の仕方(アクセントや舌の使い方など)、文字(ひらがな・カタカナ・漢字とアルファベット)、文型(主語・述語・目的語などの順番)など、すべてが異なり、言語間の距離はとても離れています。
英語と同じインドーヨーロッパ語族に属する言語を母語とする人々に比べると、
日本人は大きなハンデを背負っているのです。


4.学習時間が少ない
4番目の理由は3番目の理由にも関係します。
アメリカ国務省の外交官養成機関が、英語を母語とする人々が各言語を習得するのに必要な時間を算出し、
それに基づいて習得難易度を分類しました。

日本語は最も難易度が高い言語に分類され、
習得に必要なのは週25時間の集中コースで88週間、合計2,200時間を必要としました。
これらは平均年齢40歳程度のアメリカの外交官が習得にかかった時間です。
外国語に関する知識を有している優秀な人々であり、授業は6人以下の少人数クラスで行われ、
さらに毎日3-4時間個人的な勉強をしたうえでの結果です。
ですので、通常の場合ですと3,000時間以上は必要ではないかと言われています。
外国語の習得難易度

逆のパターン、日本人が英語を習得するのに必要な時間も、これと相当する時間が必要になるといわれています。
トロント大学の研究においても、カナダで生活する日本人の子どもが学校生活をスムーズに送る英語を習得するのに2,000~5,000時間かかっているとのデータもあり、英語の習得に3,000時間以上必要というのは間違っていなさそうです。

一方、一般的な日本人の大学までの学習時間は、学校の授業だけで約740時間。
家庭での学習を足しても、1,000~2,000時間程度と言われています。
上記の3,000時間以上にはまだまだ足りません。
日本人が英語ができない理由として色々上げられますが、
そもそも圧倒的に英語に触れる時間が足りていない、という現実もあるのです。


いかがでしたでしょうか。
日本人が英語な理由は、
 1. 恥ずかしいという気持ちを感じやすい
 2. 英語を学ぶ必要性がない
 3. 英語と日本語は大きく違う
 4. 学習時間が足りていない
という4点にまとめることができます。

やみくもに英語を学ぶのではなく、習得を妨げるこれらの理由を理解し、
対策を立てながら学ぶことが英語の習得につながっていきます。
今後、どうすればいいのか、対策についてお伝えしていきます。


参考サイト、参考文献
TOEFL® テスト日本事務局 TOEFL iBT® テスト学習者用Webサイトhttp://www.ets.org/s/toefl/pdf/94227_unlweb.pdf
廣森友人(2015)『英語学習のメカニズム: 第二言語習得研究にもとづく効果的な勉強法』大修館書店
中島 和子(2016)『完全改訂版 バイリンガル教育の方法 』アルク

シンガポールの英語学習事情

コラム
09 /07 2018
世界の英語学習事情を眺めるコーナー、今回は「シンガポール」に焦点をあてます。

みなさんは、シンガポールにどのようなイメージを持っていますか?
経済の豊かさや街の清潔さを思い浮かべる方もいるかもしれませんが、シンガポールには「教育熱心な国」としての側面もあります。

たとえば、日本でも、おなじみのTOEFL。
シンガポールのTOEFLスコア(2017年)は、アジアで1位になっています。

また、OECDによる国際学力比較ランキング(15歳時)では世界のトップとなっていて、総合的な学力の高さが伺えます。

そんなシンガポールの英語教育は、一体どのようになっているのでしょうか。


■国の背景
シンガポールの高い英語力を語る上で欠かせないのが、多民族国家としての側面です。
住民は中華系、マレー系、インド系をはじめ、様々な民族で構成されています。

話す言葉も、母語の割合が
  ・中国語   49.9%
  ・英語     32.3%
  ・マレー語  12.2%
  ・タミル語   3.3%
となっています。

多くの学校で、様々な言語を母語とする子どもが共に学んでいるのです。そのような中で、英語は様々な言語を話す人々を「つなげる」役割を担っています。
テレビの放送や公共施設の表示、そして学校の一部の授業は、共通の言語である「英語」で行われます。
社会とのつながりに、日本とは比べ物にならないほど、英語が必要であると言えるでしょう。

■時間数
そんなシンガポールの小学校では、小学1年生のころから英語の授業が頻繁に行われています。日本との比較をしてみましょう。

まず、日本の授業数ですが、2020年に英語教育改革が実施されることにより現在は変則的になっています。あくまで、目安になりますが、実施後(2020年度以降)の小学3、4年生でも年間35単位になっています。(下記参照)
年間35単位というのは、およそ週に1コマという授業数です。

32_スクリーンショット

一方で、シンガポールを見てましょう。
これはシンガポールの学校の小学1年生のスケジュールです。
「英語」の授業だけを抽出しています。

32_シンガポール学校スケジュールA


32_シンガポール学校スケジュールB

学校によってもちろん差はありますが、小学1年生であっても最低週に4時間以上は授業が入っている学校が多いようです。
日本と比べて、社会で生きる上で必要性の高い英語を集中的に学習していることが分かります。

■教育内容
さて、英語の学習内容については、国が策定するシラバスを見てみましょう。このシラバスは定期的に改定されており、最近では2010年に大幅に改定されています。

改定されたシラバスを見てみると、日本の教育改革とも共通する部分が見受けられます。たとえば、21世紀のグローバル化する世界に対応していくため、コミュニケーション能力に重点を置いています。情報化社会の中で、視覚的な情報を理解し、的確に発信する能力も重視されています。

また、6つの学習分野
「聞き取り力(Listening and Viewing)」
「読解力( Reading and Viewing)」
「会話表現力( Speaking and Representing)」
「筆記表現力(Writing and Representing)」
「文法( Grammar)」
「語彙(Vocabulary)」
について、それぞれの学習段階における目標を明確に定めています。

■試験、進路
教育熱心な親が多いシンガポールですが、それは日本以上に格差社会であることとも関係があります。シンガポールでは、大学を卒業した人の平均月収は中等教育を卒業しただけの人の 3倍というデータもあります。

また、小学生のうちから統一的な試験が行われ、能力に応じた選別が行われます。まず小学4年生の終わりにテストが行われ、それにより高学年のときのクラス分けがされます。その後も小学校の卒業時、中等学校卒業時とそれぞれ試験が行われ、以後の進路が自動的に決められます。
大学へ進学できるのは4人に1人程度という狭き門のため、子どもたちは小学生の頃から厳しい競争にさらされていると言えるかもしれません。



以上、シンガポールの英語学習事情を駆け足で見てきました。


英語教育においては、日本よりはるかに高い実績を持つシンガポール。

競争が厳しい(格差が大きい)という側面はあるものの、高い水準の教育制度、国の教育費予算の充実(国庫支出の20%)、多様な人々と日々学び合い切磋琢磨できる環境といった教育環境は世界から評価されており、各国の著名人が子どもの教育のためにシンガポールに移住しているほどです。

日本と多民族国家のシンガポールではそもそも英語の使用頻度などの背景が違うかもしれません。しかし、グローバル化する世界では、日本出身であっても、シンガポール出身であっても、同じ土俵で勝負をすることになります。

英語教育改革で、日本でも英語に触れる時間が伸びるとはいえ、世界との比較では決して十分な時間とは言えません。
子どもたちには、少しでも英語に触れる時間を増やしてあげたいと思います。


えいごプラネット

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