日本人はなぜ英語が苦手?

コラム
10 /30 2018
日本人は英語ができない。と言われ続けて長い時間がたっています。
苦手なことを示す客観的な指標として、TOEFL iBTのスコアがあります。
TOEFL iBTは、アメリカの大学・大学院で必要な4技能(聞く、話す、読む、書く)の総合的な英語能力を測定する信頼性の高いテストです。

2017年の結果を見ると、「日本人は英語が苦手」どころか、なんとアジアで最下位!

TOELFのスコア
小学校から英語の授業がありますし、英会話学校や英語アプリなどもたくさんあるのに、なぜ世界的に日本人は英語が不得意なのでしょう?



1. 恥の文化
発音が悪いから恥ずかしい。文法が間違っていたら恥ずかしい。
だから、話すのをちゅうちょしてしまう。
この感覚、「あぁそうだ。」と思い当たる方、多いのではないでしょうか。

日本の文化を的確に分析した本として有名な『菊と刀』という本において、
アメリカの文化人類学者ベネディクトは、日本には「恥の文化」があるとしました。
この「恥」という気持ちが、英語でコミュニケーションをとる際の妨げの一つになっていると考えられています。


2. 必要性がない、動機がない
日本人が英語を苦手な二つ目の理由は、英語を習得する必要性や動機が少ないということです。
日本で普通の生活をしている限り、英語を話す機会に出くわすことはほとんどありません。
誰とでも日本語でコミュニケーションとれるのはもちろん、英語が話せなくても学校の授業を受けることができますし、就職に困るということもありません(近年、多少状況は変わってきていますが)。

当然のように思えることですが、実は他の国ではそうはいきません。
国民が英語が得意な国として有名なフィリピン。
フィリピンの小学校では、算数・理科などは英語で授業が行われています。
なぜ英語で教えるのかというと、母国語に存在しない単語が多いことが理由の一つです。
例えば、「光合成」「染色体」などです。
英語で授業を行った方が適切に教えることができるというのが、授業が英語で行われる理由です。
フィリピンの子供


また、以前ご紹介したシンガポールは、それぞれ異なる言語を母語とする多民族で構成されている多民族国家です。
互いにコミュニケーションをとるために、共通言語である「英語」を習得しなければならないという必要性がありました。

日本の場合、(幸か不幸か)日本語だけで何不自由なく生活も勉強も就職もできてしまいます。
積極的に英語を学習したいという感じる機会は少ないし、英語を学ぶ必要性もないので、日本人は英語が苦手なのです。


3. 言語間の距離が離れている
日本人が英語が苦手な理由として、もう一つ上げられるのは、「日本語」と「英語」は言語として大きく異なっている、ということです。
学習者の母語と学習対象となる言語が似ていれば似ているほど、距離が近ければ近いほど、習得は容易になります。
この言語と言語がどれだけ似ているかという概念を「言語間の距離」と言います。
言語間の距離(印欧語族)

もし、日本語と英語が似ていたら、簡単に英語は習得できたでしょう。
ですが、実際は日本語と英語は違う系統の言語に分類され、
発音の仕方(アクセントや舌の使い方など)、文字(ひらがな・カタカナ・漢字とアルファベット)、文型(主語・述語・目的語などの順番)など、すべてが異なり、言語間の距離はとても離れています。
英語と同じインドーヨーロッパ語族に属する言語を母語とする人々に比べると、
日本人は大きなハンデを背負っているのです。


4.学習時間が少ない
4番目の理由は3番目の理由にも関係します。
アメリカ国務省の外交官養成機関が、英語を母語とする人々が各言語を習得するのに必要な時間を算出し、
それに基づいて習得難易度を分類しました。

日本語は最も難易度が高い言語に分類され、
習得に必要なのは週25時間の集中コースで88週間、合計2,200時間を必要としました。
これらは平均年齢40歳程度のアメリカの外交官が習得にかかった時間です。
外国語に関する知識を有している優秀な人々であり、授業は6人以下の少人数クラスで行われ、
さらに毎日3-4時間個人的な勉強をしたうえでの結果です。
ですので、通常の場合ですと3,000時間以上は必要ではないかと言われています。
外国語の習得難易度

逆のパターン、日本人が英語を習得するのに必要な時間も、これと相当する時間が必要になるといわれています。
トロント大学の研究においても、カナダで生活する日本人の子供が学校生活をスムーズに送る英語を習得するのに
2000時間~5000時間かかっているとのデータもあり、英語の習得に3000時間以上必要というのは間違っていなさそうです。

一方、一般的な日本人の大学までの学習時間は、学校の授業だけで約740時間。
家庭での学習を足しても、1,000~2,000時間程度と言われています。
上記の3,000時間以上にはまだまだ足りません。
日本人が英語ができない理由として色々上げられますが、
そもそも圧倒的に英語に触れる時間が足りていない、という現実もあるのです。


いかがでしたでしょうか。
日本人が英語な理由は、
 1. 恥ずかしいという気持ちを感じやすい
 2. 英語を学ぶ必要性がない
 3. 英語と日本語は大きく違う
 4. 学習時間が足りていない
という4点にまとめることができます。

やみくもに英語を学ぶのではなく、習得を妨げるこれらの理由を理解し、
対策を立てながら学ぶことが英語の習得につながっていきます。
今後、どうすればいいのか、対策についてお伝えしていきます。


参考サイト、参考文献
TOEFL® テスト日本事務局 TOEFL iBT® テスト学習者用Webサイトhttp://www.ets.org/s/toefl/pdf/94227_unlweb.pdf
廣森友人(2015)『英語学習のメカニズム: 第二言語習得研究にもとづく効果的な勉強法』大修館書店
中島 和子(2016)『完全改訂版 バイリンガル教育の方法 』アルク

シンガポールの英語学習事情

コラム
09 /07 2018
世界の英語学習事情を眺めるコーナー、今回は「シンガポール」に焦点をあてます。

みなさんは、シンガポールにどのようなイメージを持っていますか?
経済の豊かさや街の清潔さを思い浮かべる方もいるかもしれませんが、シンガポールには「教育熱心な国」としての側面もあります。

たとえば、日本でも、おなじみのTOEFL。
シンガポールのTOEFLスコア(2017年)は、アジアで1位になっています。

また、OECDによる国際学力比較ランキング(15歳時)では世界のトップとなっていて、総合的な学力の高さが伺えます。

そんなシンガポールの英語教育は、一体どのようになっているのでしょうか。


■国の背景
シンガポールの高い英語力を語る上で欠かせないのが、多民族国家としての側面です。
住民は中華系、マレー系、インド系をはじめ、様々な民族で構成されています。

話す言葉も、母語の割合が
  ・中国語   49.9%
  ・英語     32.3%
  ・マレー語  12.2%
  ・タミル語   3.3%
となっています。

多くの学校で、様々な言語を母語とする子どもが共に学んでいるのです。そのような中で、英語は様々な言語を話す人々を「つなげる」役割を担っています。
テレビの放送や公共施設の表示、そして学校の一部の授業は、共通の言語である「英語」で行われます。
社会とのつながりに、日本とは比べ物にならないほど、英語が必要であると言えるでしょう。

■時間数
そんなシンガポールの小学校では、小学1年生のころから英語の授業が頻繁に行われています。日本との比較をしてみましょう。

まず、日本の授業数ですが、2020年に英語教育改革が実施されることにより現在は変則的になっています。あくまで、目安になりますが、実施後(2020年度以降)の小学3、4年生でも年間35単位になっています。(下記参照)
年間35単位というのは、およそ週に1コマという授業数です。

32_スクリーンショット

一方で、シンガポールを見てましょう。
これはシンガポールの学校の小学1年生のスケジュールです。
「英語」の授業だけを抽出しています。

32_シンガポール学校スケジュールA


32_シンガポール学校スケジュールB

学校によってもちろん差はありますが、小学1年生であっても最低週に4時間以上は授業が入っている学校が多いようです。
日本と比べて、社会で生きる上で必要性の高い英語を集中的に学習していることが分かります。

■教育内容
さて、英語の学習内容については、国が策定するシラバスを見てみましょう。このシラバスは定期的に改定されており、最近では2010年に大幅に改定されています。

改定されたシラバスを見てみると、日本の教育改革とも共通する部分が見受けられます。たとえば、21世紀のグローバル化する世界に対応していくため、コミュニケーション能力に重点を置いています。情報化社会の中で、視覚的な情報を理解し、的確に発信する能力も重視されています。

また、6つの学習分野
「聞き取り力(Listening and Viewing)」
「読解力( Reading and Viewing)」
「会話表現力( Speaking and Representing)」
「筆記表現力(Writing and Representing)」
「文法( Grammar)」
「語彙(Vocabulary)」
について、それぞれの学習段階における目標を明確に定めています。

■試験、進路
教育熱心な親が多いシンガポールですが、それは日本以上に格差社会であることとも関係があります。シンガポールでは、大学を卒業した人の平均月収は中等教育を卒業しただけの人の 3倍というデータもあります。

また、小学生のうちから統一的な試験が行われ、能力に応じた選別が行われます。まず小学4年生の終わりにテストが行われ、それにより高学年のときのクラス分けがされます。その後も小学校の卒業時、中等学校卒業時とそれぞれ試験が行われ、以後の進路が自動的に決められます。
大学へ進学できるのは4人に1人程度という狭き門のため、子どもたちは小学生の頃から厳しい競争にさらされていると言えるかもしれません。



以上、シンガポールの英語学習事情を駆け足で見てきました。


英語教育においては、日本よりはるかに高い実績を持つシンガポール。

競争が厳しい(格差が大きい)という側面はあるものの、高い水準の教育制度、国の教育費予算の充実(国庫支出の20%)、多様な人々と日々学び合い切磋琢磨できる環境といった教育環境は世界から評価されており、各国の著名人が子どもの教育のためにシンガポールに移住しているほどです。

日本と多民族国家のシンガポールではそもそも英語の使用頻度などの背景が違うかもしれません。しかし、グローバル化する世界では、日本出身であっても、シンガポール出身であっても、同じ土俵で勝負をすることになります。

英語教育改革で、日本でも英語に触れる時間が伸びるとはいえ、世界との比較では決して十分な時間とは言えません。
子どもたちには、少しでも英語に触れる時間を増やしてあげたいと思います。


中国の子どもはどうやって英語を学習しているか

コラム
05 /22 2018
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英語の必修化が低学年にも広がり、
いよいよすべての子どもが早くから英語を
学ぶ時代に入っていきます。

しかし海外を見渡すと、日本はどちらかというと後発組。

アジアの国々の中には、さらに積極的に英語学習を
おこなっている国があります。

今の子どもは、私たち以上に世界を舞台に
戦わなくてはいけません。

日本だけでなく、世界の英語学習事情を
眺めていきたいと思います。


本日は「中国」に焦点を当てます。

中国の英語教育は一体どのようになっているのでしょうか。


日本では2011年に小学校の英語教育が始まりました。
中国では、それより10年も早い、2001年から
初等教育における英語の学習を始めています。

小学3年生からの学習も
早い時期から取り入れています。


また、求められる勉強量も大きく違います。


日本では、一般的に「中学校卒業」までに
1200語程度を求められます。

中国では、「小学校卒業」までに
約1600語を求めるところもあるそうです。


このようにグローバル人材を育てるべく
英語教育に取り組む中国ですが、
今、ITの技術が急速に進むなか、
英語教育に新たなトレンドの波が来ています。

それは、オンライン教育です。

子ども向けに英語教育サービスを提供する中国の会社に
「VIPKID」というベンチャー企業があります。

中国の子ども20万人と北米のネイティブ英語教師2万人を
オンライン上で1対1でつなぎ、オンライン英会話を実施しています。


「VIPKID」の成長はすさまじく、ある調査会社のリサーチでは、
中国の子ども向けオンライン英語教育の市場規模は
2017年、約470億円と見られていましたが、
VIPKID1社でこの予測を超えてしまいました。

「VIPKID」の2017年の売り上げは
約850億円にもなっています。


なぜ、「VIPKID」はこれだけ
急速に成長しているのでしょうか?


それは海外へ留学する子どもの増加と、
英語教育の低年齢化と考えられています。


中国からアメリカの高等教育機関への留学者数は
過去10年平均年率18%で成長し、
2015年には32万9000人にのぼっています

同じように小学校、中学校のうちから留学をする
子どもも右肩上がりに増加しています。


なんと、アメリカの外国人学生の3分の1は、中国人なのです。

「ネイティブの国で英語を学びたい」

そのような親や子どものニーズとITの普及、
これらの要因が、今中国でオンライン英会話の
市場を爆発的に拡げているのです。


以上、中国の英語学習事情を駆け足で見てきました。


一方で日本の留学生数はというと……

大学院生までの留学生の合計が
2005年に3.9万人だったものが2015年には
1.9万人と2万人も減少しています。


グローバル化の世界では、競争が激化しますが、
同時に世界に羽ばたくチャンスも増えていきます。

子どもたちには英語を好きになってもらい、
積極的に留学するなど、早いうちから
世界を知る経験をしてもらいたいと思います。

えいごプラネット

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毎月500円で楽しく英語が身につくオンライン英語教材「えいごプラネット」の公式スタッフブログです。

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